反応有機化学研究室
Research
複素環化学に関する研究







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複素環化合物の合成ならびに反応性

・環構造に窒素原子を含む複素環化合物は植物成分や生体
 内 に 多く見られ,生理活性物質として重要な有機化合物群
 です.これまでに知られていない新しい窒素複素環化合物を
 合成して反応性や物性を研究しています.
・2H-アゼピンは不安定で,3H-アゼピンに異性化してしまうた
 め,合成が困難ですが,3H-アゼピンから効率よく2H-アゼピ
 ンを作る方法を開発しました.



・また,2H-アゼピンの物性についても研究しています.例えば,
 2位に硫黄を含む置換基も持つ2H-アゼピンでは,一般に知
 られている水素原子の移動だけでなく,硫黄原子の移動も起
 こることを発見しました.






アザトロピリウムイオンの芳香族性と反応性に関する研究


七員環陽イオン分子,アザトロピリウムイオンを初めて合成す
 ることに成功しました.このイオンは1H および13C NMRスペ
 クトルで観測することができ,芳香族化合物の特徴を示すこと
 を明らかにしました.


・七員環陽イオン分子は,化学反応性を調べる実験やコンピュー
 タを用いた理論計算により陽電荷がすべての七員環原子上に
 分散していることを証明しました.また,この七員環陽イオン分
 子は,芳香族化合物の特徴である.置換反応を起こすことがわ
 かりました.








光化学に関する研究


アザシクロファンの合成と光反応

・シクロファンは芳香族分子を鎖でつなぎ合わせた化合物です.
 鎖がない化合物とは違う物性を示す興味深い化合物群です.

・架橋鎖に窒素原子を持つシクロファンは炭素原子の架橋を持つ
 類縁体とは違う光反応性を持ち,架橋の原子の種類によってシ
 クロファンの光物性が変わることがだんだんわかってきました.

・シクロファンの光物性に及ぼす架橋鎖の効果を解明したいと考
 えています.このような研究は,有機化合物の構造,反応性,
 電子状態などを理解するために役立っていきます.




マルチファンクション蛍光物質の開発

・蛍光とは,化合物が光のエネルギーを吸収した後,そのエネル
 ギーを光として放出する現象です.

・蛍光物質に様々な刺激(例えば金属イオン)に応答するレセプ
 ター機能を持たせると,刺激に応じた蛍光の変化を示すように
 なります.このような性質を利用してたくさんの化学センサーが
 開発されてきました.

・私たちは,一分子で多数の刺激に応答するマルチファンクショ
 ン蛍光物質を開発しています.
.アミノナフタルイミドをアミドとして修飾すると,溶媒の極性によっ
 てアミド-アミデートの変換が起こり,蛍光の色がドラマチックに
 変わります.

・このようなアミデートは金属イオンにも応答するようになり,一
 分子で金属イオン,溶媒極性の両方にレスポンスを示します.

・アミノフタルイミドとクラウンエーテルを合体させると,アルコール
 と銀イオンの両方で蛍光特性を制御でき,青−緑の切り替えと
 蛍光色のON-OFFスイッチングを同時に実現できました.
・この挙動は2bitの入力を処理できる,2-input-2-outputの分子
 演算子として表すことができます.





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