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最近の研究紹介(理論化学研究室)「新しい氷の探求」

記録日 : 2018年07月05日 | 更新日 : 2018年07月26日

理論化学研究室では、水に関係するさまざまな現象を、統計力学理論とコンピュータシミュレーションにより研究しています。ここでは氷にまつわる研究を紹介しましょう。

水を冷やすと氷になります。氷の中では、水分子は規則的に六角形の構造を作り、これが雪の六方対称(60度回転するともとの図形に重なる)の結晶構造に反映されています。

では、六角形以外の氷は作れるのでしょうか。圧力が高い場合、氷の結晶は三角形や四角形などの変わった結晶構造に変化することは実験でわかっています。地球の深海で、そこまで高圧の世界はありませんが、外惑星の衛星や、地殻のマントル近くで強く圧縮された氷は、普通の氷とは結晶構造も性質も異なると考えられています。例えば、超高圧で生じる氷7は四角形(立方晶)で、融点が100℃を越えます。

これまでに低圧から高圧までくまなく調べられました。氷の結晶構造は、今世紀に入って5種類増え、実に17種類もあることがわかっています。

この先も、まだ増え続けるのでしょうが、次はどの温度、圧力を探せば見付かるでしょうか?

氷の結晶構造には一定の規則性があります。これまでに見付かった氷は、いずれも(1)1つの分子に4本の水素結合が必ずつながっていること(4配位ネットワーク)、(2)周期構造であること、などの条件を満たしています。これらの条件を満たす幾何学的な構造は無限にありますが、そのなかで、結合の歪みが小さく、実際に安定な氷となれるのはごくわずか(といっても17種類はあるわけですが)しかありません。

実験で見落している、比較的安定な氷の結晶構造がほかにもあるのではないか? この疑問に答えられるのがコンピュータシミュレーションです。実験ではさまざまな技術的理由により実現できていない構造も、シミュレーションを使えばあらかじめその性質を予測できます。

理論化学研究室では、大学生・大学院生の活躍により、これまでに新しい氷の構造を数種類予測しました。どの結晶も、シミュレーション以外の方法ではまず気付かなかったような、複雑で意外な結晶構造をもっています。もしかしたら、このうちのいくつかは、実際に作られる日が来るかもしれません。

図: 実験で発見された高圧氷VII (7)と、シミュレーションで我々が見付けた高圧氷R, T, T2の結晶構造の比較。最も複雑な氷T2の単位胞は152分子からなり、シミュレーションで自発的に生じた結晶としてはとびぬけて複雑な結晶構造です。なぜ水分子のような単純な分子が、こんなに複雑な構造を作れるのでしょうか。

発表論文 (学内から閲覧できます)

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