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最近の研究紹介 (構造化学研究室) 「二次元シートにはさまれた分子の運動状態の解明」

記録日 : 2018年11月26日 | 更新日 : 2018年11月28日 [NEW]

世の中には,様々な「サンドイッチ」状の構造が存在します。パンに具材がはさまれたサンドイッチやハンバーガー,クリームがクレープの間に塗りこまれたミルクレープなどの食べもの,あるいは整然と本が並べられた書棚など,実生活で目にする多くのものが,「二次元のシート間に何かがはさまれた構造」を持っています。原子レベルのミクロな世界でもこのような構造はたくさんあります。シートにはさまれミクロな間隙に存在する物質は,通常の液体や固体のときとは全く異なる性質を示すため,各種機能性材料やデバイスの構成材としていろいろな用途に使われています。

リチウムイオン電池は,スマホやパソコン,電気自動車や航空機など多くの機器に利用されている電池ですが,その正極材料も負極材料も,サンドイッチ状構造,正確には「層状構造」をもっており,二次元シート間に挟まれたリチウムが正極と負極を行き来することで充放電が行われます。リチウムイオンの次世代の電池として期待されるナトリウムイオン電池も同じ構造をしています。従来,ナトリウムイオン電池の負極炭素は非晶質炭素でなければならないという制約があったためコスト上昇や充放電速度の問題などがありましたが,近年,ジグライムと呼ばれる有機分子とナトリウムが錯体をつくりながら黒鉛の層間に安定的に出入りすることが報告され,層状構造をとりながら高効率で高速な充放電が行えることがわかってきました。

私達の研究室では,核磁気共鳴という方法を利用して,このような「層状シート」にはさまれて存在しているアルカリ金属イオン(Li+・Na+等)の電子的環境や,有機分子の運動状態,拡散挙動を調べています。黒鉛の層間にNa+と共に入ったジグライムなどの分子は,低温(210 K 以下)ではほぼ固定されていますが,室温では下図のような特異的な運動をしており,この状態で層面に沿って活発に拡散することで電池電極として優れた性質を示すことがわかりました。[1] また,黒鉛層間中での金属―クラウンエーテル錯体の分子運動がアルカリ金属の種類に影響されること[2] や,酸化グラフェン層間に挟まれた分子が高速で拡散していること[3] を解明するなど,ミクロな目で分子がどのように動いているかを観察し,機能性物質の機能発現の原理を明らかにしています。

[1]Structure and Dynamic Behavior of Na-Diglyme Complex in the Graphite Anode of Sodium Ion Battery by 2H Nuclear Magnetic Resonance, K. Gotoh, H. Maruyama, T. Miyatou, M. Mizuno, K. Urita, and H. Ishida, J. Phys. Chem. C,120, 28152-28156 (2016).

[2]Structure and Dynamic Behavior of Na-crown Ether Complex in the Graphite Layers studied by DFT and 1H NMR, K. Gotoh, S. Kunimitsu, H. Zhang, M. M. Lerner, K. Miyakubo, T. Ueda, H.-J. Kim, Y.-K. Han and H. Ishida, J. Phys. Chem. C122, 10963-10970 (2018).

[3]Arrangement and Dynamics of Diamine, Etheric, and Tetraalkylammonium Intercalates within Graphene or Graphite Oxide Galleries by 2H NMR, K. Gotoh, C. Sugimoto, R. Morita, T. Miyatou, M. Mizuno, W. Sirisaksoontorn, M. M. Lerner, and H. Ishida, J. Phys. Chem. C119, 11763-11770 (2015).

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