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分子で植物の成長を制御する(有機化学研究室)

記録日 : 2019年08月02日

この研究内容は岡山大学理学部生物学科、高橋卓教授および本瀬宏康准教授との共同研究による成果です。

 

植物には水やイオンが根から吸収され、その通り道となる維管束木部(ザイレム)と呼ばれる組織があります。この維管束木部に、ある特定の分子が蓄積すると木質化が進みます。木質化した部分が増え過ぎると植物の背丈は伸びなくなります。高橋教授と本瀬准教授のグループはこれまで、植物ホルモンであるサーモスペルミンが木部の分化(木質化)を抑える働きを示すことを発見していました。サーモスペルミンが合成されない変異体は木部の分化が促進され、成長が抑制されます。逆に木部の分化が抑制されると植物の成長は促進されます。そこで同グループは、植物中でサーモスペルミンの生合成を阻害する分子を実現できれば、木部分化を促進し植物成長を抑制できるのではないかと考え、その分子の人工合成を私たちの研究室へ打診し共同研究がスタートしました。まずは、どのような構造を持つ分子がサーモスペルミンの合成阻害剤になり得るのかを考えました。つまり分子設計です。何度か議論を重ね、「この構造ならば効くであろう」最も見込みのある分子構造を決めました。次に実際に化学合成を検討し、標的分子を合成しました。合成した分子をベンサミタバコの上から添加し観察したところ、期待したとおりその成長が抑制されることが分かりました(下図参照)。さらに、この現象は分子の添加により木部分化が促進されたことによるものであることも明らかにすることができました。我々はこの分子をザイレミンと名付けました。現在、ザイレミンは東京化成工業より販売されています(製品コード:X0080)。ザイレミンの開発は、雨風の影響を受けにくい背丈の低い植物への展開など、農業への応用につながる成果として期待されています。また、木材由来の資源エネルギーとして注目されている木質バイオマスの生産調整にも応用できる可能性を秘めています。

 

分子で生命現象を理解し、解明し、制御したい。そう思いながら研究を行っています。

 

 xylemin

 

これらの研究成果は科学雑誌「Scientific Reports」に掲載されています。

“Chemical Control of Xylem Differentiation by Thermospermine, Xylemin, and Auxin”

Yoshimoto, K.; Takamura, H.; Kadota, I.; Motose, H.; Takahashi, T. Sci. Rep. 2016, 6, 21487.

また、2016年2月17日の朝日新聞朝刊、2016年3月4日の科学新聞、2016年4月10日の山陽新聞朝刊にて取り上げられました。

 

有機化学研究室

植物発生研究室

岡山大学のプレスリリース

東京化成工業のザイレミンに関する記載

 

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