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最近の研究紹介 (機能有機化学研究室) 「次世代の再生可能エネルギー:有機薄膜太陽電池用新材料の開発」

記録日 : 2018年10月02日 [NEW]

現在、化石燃料に代わるクリーンな再生可能エネルギーとして、家屋の屋根などに設置されているソーラーパネルのように、シリコン太陽電池(無機系太陽電池)が様々な場所に設置・導入されています。しかしながら、シリコン太陽電池は、作製コストが高い問題点のほか、重くて硬いといった性質から、設置場所が限定されるといった問題点があります。 

これに対して、有機物から構成される有機薄膜太陽電池は、発電する層がすべて軽くて柔らかい有機物で構成されており、次世代の再生可能エネルギーとして研究が進められています。発電層は、光を吸収するインクを薄いプラスチックフィルム上に“印刷”することで作製できるため、非常に安価で大量生産が可能となります。また、非常に柔らかい有機物で構成されているため、曲げても伸ばしても壊れない太陽電池が実現できます。その結果、ビルの壁や車の側面など曲面にも設置できるため、設置場所を選ばないといった利点もあります。また、その意匠性の高さから、窓の調光剤やインテリアにも利用可能です。しかしながら、シリコン太陽電池よりもエネルギー変換効率が低いため、有機薄膜太陽電池の実用化に至っていないのが現状です。実用化には 15% を超えるエネルギー変換効率が必要と言われています。 

有機薄膜太陽電池のエネルギー変換効率を向上させるには、発電層を構成する有機材料のうち、これまでに開発された材料よりも高い性能を示す新材料を開発する必要があります。有機薄膜太陽電池の発電層は、正孔(物質中の電子が抜けてできた空孔のこと。負の電荷をもつ電子が抜けたことにより、正の電荷をもつ粒子のようにふるまう。正孔の輸送方向は電子の流れとは逆)を輸送する p 型半導体と電子を輸送する n 型半導体の2種類から構成されており、この2種の材料同士が接する界面で、吸収した太陽光が電子と正孔に変換され、電流として取り出すことが可能となります。エネルギー変換効率を高めるためには、この p 型半導体と n 型半導体が太陽光をできるだけ多く吸収し、できるだけ早く電流を流すことが重要となります。私たちの研究グループでは、有機薄膜太陽電池の発電層に用いる材料のうち、高い性能を示す p 型半導体の開発をおこなっています。特に、これまでにない新しい骨格を独自に開発し、独自の合成反応によって新材料の開発に成功しており、現段階で 9% の高い変換効率を達成しています。

発表論文

“Phenanthrodithiophene (PDT)−Difluorobenzothiadiazole (DFBT) Copolymers: Effect on Molecular Orientation and Solar Cell Performance of Alkyl Substitution onto a PDT Core”, H. Mori, R. Takahashi, K. Hyodo, S. Nishinaga, Y. Sawanaka, and Y. Nishihara, Macromolecules 2018, 51, 1357−1369.

DOI:10.1021/acs.macromol.7b02734

“Alkoxy-Substituted Anthra[1,2‑c:5,6‑c’]bis([1,2,5]thiadiazole) (ATz): A New Electron-Acceptor Unit in the Semiconducting Polymers for Organic Electronics”, H. Mori, S. Nishinaga, R. Takahashi, and Y. Nishihara, Macromolecules 2018, 51, 5473−5484.

DOI:10.1021/acs.macromol.8b01230

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